日本では、正倉院の遺品により、中国からの象牙彫技法が、奈良時代(8世紀頃)と伝えられている。そして、日本の安土桃山時代から江戸時代には、髪飾り、根付けなどに用いられた象牙。現在はワシントン条約によって国際取引が規制されており、2009年以降は輸入されていない。象牙は希少価値が高く、滑らかな肌触りや光沢はほかに類を見ない天然素材として珍重され、日本では、印鑑をはじめ、日本の伝統芸能である能や神仏などをモチーフとして置物・根付けや装身具のアクセサリーが作られている。象牙は滑らかな肌さわり、美しい光沢と縞目模様の変化の妙と加工に適した固さを持っていることもあって、工芸品の素材や装身具のアクセサリーとして洋の東西を問わず、古くから珍重され使用されてきた。古代エジプトでは豪華な家具や装身具に象牙が用いられ、古代ギリシャやローマでもいろいろな神像がつくられ、また中国でも上流階級の調度品の装飾などに愛用されるようになった。